霧の街のポリフォニー

活動③

分有の技法~離れつつ共にあるアート

2021年9月─11月

ステイホームによる日常の行動変容は、家・家族・仲間との共存の形に変化をもたらすと共に、ネットカフェ難民やホームレスなど「ホーム」を持たないものは、社会の「圏外」に置かれる危険にさらされています。本年度は、詩作・模型・道祖神など身体と自然の対話が必要な領域とオンライン/オフラインの関係を探ることで、離れつつも共に有り、経験を共有することをテーマにした創造実践のあり方を探求します。

セミナー

「投錨と場所――村を守る不思議な神様を訪ねる」

日時|10 月3日(日)13:30–15:00
会場|京都市地域・多文化交流ネットワークサロン
講師|小松和彦(郷土史研究家/小松クラフトスペース店主) 宮原葉月(アートクリエイター)

秋田人形道祖神プロジェクト

秋田の郷土史研究家・小松和彦とアートクリエイター・宮原葉月によるユニット。2017年から県内各地の人形道祖神を取材し、『村を守る不思議な神様』(2018)、『村を守る不思議な神様2』(2019)を刊行。秋田魁新報『ハラカラ』定期連載。2019年、神楽坂・かもめブックス、代官山・蔦屋書店でブックフェアと原画展、スライドトークを開催。NHK・BSプレミアム『ニッポンぶらり鉄道旅』出演。2020年、『荒俣宏の妖怪伏魔殿展』(角川武蔵野ミュージアム)展示協力、『LONG LIFE DESIGN 2 祈りのデザイン展 -47都道府県の民藝的な現代デザイン-』(d47 MUSEUM)、『ARTS & ROUTES・あわいをたどる旅展』(秋田県立近代美術館)出展。美術大学や公立図書館などでレクチャーを行う。2021年、『村を守る不思議な神様・永久保存版』をKADOKAWAより刊行。

小松和彦

郷土史研究家。1976年、秋田市生まれ。青山学院大学文学部史学科考古学専攻卒。工芸ギャラリー・小松クラフトスペース代表。秋田県の花柳界や民間信仰を研究している。著書『秋田県の遊廓跡を歩く』(渡辺豪との共著、カストリ出版)。復刻監修『美人の秋田』(カストリ出版)。秋田魁新報電子版で『新あきたよもやま』を連載。

宮原葉月

アートクリエイター。広告ビジュアルや装画等のイラストを担当。装画の代表作は『ピンクとグレー』(加藤シゲアキ著、KADOKAWA)や『服を買うなら捨てなさい』(地曳いく子著、宝島社)等。広告では、銀座ソニービルの壁画や「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグなどを手掛ける。

人形道祖神とは

疫病などの災いが入ってこないよう、村の入口や神社など屋外に立てられたわらや木などで作られた人形の神様。こうした民間信仰は東日本各地に分布しているが、とりわけ秋田県には多く、北部と南部の内陸を中心に約150の集落で確認できる。こうした神様はカシマサマ、ショウキサマ、ニンギョウサマといった名称で呼ばれ、民俗学者の神野善治はこれらを「人形道祖神」と命名、分類した。

オンライン・セミナー

「初歩的なトレーニング(ひみつの海岸で宝石を拾い集める、または目で見えないところを見ようとする)」

日時|10月17日(日)13:30–15:00
講師|小内光おさないひかり(詩人)

小内光おさないひかり

1993年新潟県生まれ。2011年より東京都在住。詩やテキストの執筆、それらを本にすることと並行して、土を焼き締めた立体物(土器)を制作、展覧会の形で作品の発表をしている。第18回中原中也賞最終候補(後藤ユニ名義)。主な著作に『300年のヒント』、『わたしの虹色の手足、わたしの虹色の楽器』、またそれぞれ同名の展示がある。

セミナー

「オフラインの思考――模型・身体・記憶」

日時|11月12日(金)13:30–16:00
会場|京都市立芸術大学
講師|松井広志(文化社会学・メディア論/愛知淑徳大学准教授)

松井広志

1983年、大阪府生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科単位取得退学、博士(文学)。愛知淑徳大学創造表現学部准教授。専門は文化社会学、メディア論。模型やゲームの歴史に基づき、「モノがどのようにメディアとなるのか」という問いを探究している。主な著書に『模型のメディア論』(青弓社、2017)、編著に『多元化するゲーム文化と社会』(ニューゲームズオーダー、2019)、『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、2021)などがある。