新しい学習環境を構築するために導入された「GIGAスクール構想」によって、公立高校では1人1台のタブレット端末が当たり前のものとなりつつあります。
しかし、その一方で、タブレット端末の購入費用が保護者負担となり、家庭の経済的な負担が急増している現状が広がっています。
当記事では、タブレット端末の導入背景や現状、保護者の声、各自治体の対応について掘り下げます。
タブレット端末の導入背景とGIGAスクール構想
「GIGAスクール構想」は、文部科学省が推進する教育改革の一環であり、全国の小・中・高校で1人1台のタブレット端末を整備することを目指したプロジェクトです。
特にコロナ禍では、オンライン授業の必要性が高まり、公立高校でもこの構想が加速しました。
しかし、国の交付金を活用して一時的に賄っていた費用が、コロナ後に保護者負担へと切り替えられるケースが増加しています。
引用:AERA dot.
保護者負担の急増問題
GIGAスクール構想に基づくタブレット端末の導入に伴い、保護者の経済的な負担が増大しています。
特に香川県では、新入生1人当たりのタブレット端末費用が約10万円にも及び、多子家庭にとっては大きな負担となっています。
また、多くの自治体では、学校が指定する機種を新品で購入することが求められており、既存の端末や中古品の使用ができないことが問題となっています。
これは、リサイクルや譲り受けといったコスト削減策が封じられることを意味します。
各自治体の対応と格差
自治体ごとの対応には大きな差が見られます。
例えば、群馬県では「BYOD(Bring Your Own Device)」方式を採用し、家庭で既に所有している端末を持ち込むことが許可されています。
しかし、香川県では指定機種(Google Chromebook)を購入しなければならず、選択肢が制限されています。
また、東京都では、生活保護受給世帯や非課税世帯に対する負担軽減措置が講じられているものの、他の自治体では十分な補助が行われていない場合もあります。
このような対応の差は、家庭の経済状況による学習環境の格差を助長する可能性があります。
保護者の声と署名活動
特に香川県では、保護者の声が強く反映され、署名活動が行われています。
多くの家庭がタブレット端末の費用負担に苦しんでおり、保護者の中には「そんなにお金がかかるなら高校に行かせられないかもしれない」といった声も上がっています。
こうした状況を受け、地元商店街やオンラインでの署名活動が行われ、教育委員会に対して改善を求める動きが広がっています。
しかし、現時点では大きな制度改革が行われておらず、保護者の負担が軽減される見通しは立っていません。
BYOD方式の可能性
一部の自治体では、家庭の経済的負担を軽減するために「BYOD方式」を導入しています。
BYOD方式では、家庭で既に所有している端末を学校で使用することが可能となり、保護者が新たに端末を購入する必要がなくなります。
この方式の利点は、費用負担の軽減だけでなく、生徒が使い慣れた端末を授業で使用できる点にもあります。
今後、他の自治体でもこの方式が広がる可能性があります。
まとめ
GIGAスクール構想により、タブレット端末が教育現場で重要な役割を果たすようになりましたが、保護者に掛かる負担は無視できない問題です。
特に経済的に厳しい家庭にとって、この負担は非常に重いものとなっており、国や自治体のさらなる支援が求められています。
タブレット端末の導入が教育の質向上に貢献する一方で、経済的なハードルが学習機会を阻害しないよう、持続可能な解決策が必要です。
当記事は以上となります。
コメント