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展覧会「聞こえないを聴く・見えないを視る」

「霧の街」とは人口減少、災害、紛争などでコミュニティの環境や生活の遺産が消えつつある状況を指します。「聞こえないを聴く・見えないを視る」では失われていく記憶の背景へと私たちの想像力を開く試みとして、言葉や映像では捉えきれない地域の感覚記憶を未来へと伝える方法を探求しています。本年度は京都駅にほど近い崇仁地域周辺の風景を音として記憶化する方法をサウンドアーティストの鈴木昭男氏と共に探りました。

鈴木氏は自然や都市の風景に耳をすます「点音(おとだて)」を1996年にベルリンで発表して以来、世界各地で行っています。今回のプロジェクトでは、建設工事に伴い急速に変化していく崇仁地域周辺の特徴を示す「点音(おとだて)ポイント」を探りだし、《点音(おとだて) in 崇仁(京都)》という地図を制作しました。この地図は、今という時間のフレームを超え、未来や過去へと私たちを回遊させてくれます。地図を楽譜と見立て、まるで演奏するように地図で示されたポイントを歩けば、地域に配置された「点音(おとだて)ポイント」同士の違いや意外なつながりを見出すことになるでしょう。

また崇仁地域を南北に流れる高瀬川に螺旋状の鉄線を設置した鈴木氏の作品《MAKE UP》は、川面のミクロな流れや音を装い、まわりの光景をもゆるやかに振動させていきます。このような試みは、地域の記憶を記念碑のように固定化するのではなく、生成と変化の流れとして捉え直し外部へと開く「感覚共同体アーカイブ」の提案へと繋がるでしょう。

プログラムディレクター
京都市立芸術大学美術学部教授
高橋悟

展覧会概要

開催日程|2019年10月24日(木)-11月10日(日)
開催場所|崇仁地域周辺

イベント

・10月26日(土)、28日(月)
点音(おとだて) in 崇仁(京都)ツアー
ツアー・パフォーマンス|
出演: 鈴木昭男(サウンドアーティスト)
・10月27日(日)
シンポジウム「聞こえないを聴く・見えないを視る」 (会場: 京都国立近代美術館)

展示作品

《点音(おとだて) in 崇仁(京都)》

展示期間中、崇仁地域周辺には複数の「点音(おとだて)ポイント」が配置されています。会場等で配布される地図、もしくはスマートフォンで閲覧できるウェブ上の地図を歩行ガイドとして、これらの「点音(おとだて)ポイント」を自由な時間に巡ることができます。
点音マップ「点音in崇仁」の鑑賞マナー6か条
①動きやすい服装で行動しよう
点音ポイントを全部回ると、だいたい1.5~2時間程度かかります。動きやすい格好で行動しましょう。
②静かに鑑賞しよう
点音ポイントがある場所は普段生活されている方がいます。大声で騒いだり、勝手に庭先に入るなど、地元の人々に迷惑をかける行為はやめましょう。
③撮影は控えよう
団地や民家などに向けて写真を撮るのはやめましょう。
④交通ルールを守ろう
点音ポイントは、交通量の多い大通りや地元の方が利用する生活道まで様々な場所に設置されています。通行の邪魔にならないようにお願いいたします。
⑤トイレは見つけたら済ませよう
点音ポイント周辺は、住宅地なのでトイレがほとんどありません。近隣の公園などを調べておきましょう。
⑥ゴミは必ず持ち帰ろう
住宅地なのでゴミ箱などの設置がされていません。ゴミは必ず持ち帰りましょう。

《点音(おとだて) in 崇仁(京都)》地図の配布場所

元崇仁小学校、柳原銀行記念資料館、京都市下京いきいき市民活動センター、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAなど
各施設の開場時間
元崇仁小学校 12:00-17:00(土曜日・日曜日・祝日は-19:00)(月曜日・木曜日休)
柳原銀行記念資料館
http://suujin.org/yanagihara/
京都市下京いきいき市民活動センター
https://www.shimogyo-ikik.net/
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
http://gallery.kcua.ac.jp/
THEATRE E9 KYOTO 事務局(9:00-18:00)
《点音 in 崇仁(京都)》地図 Googleマップ版
https://www.google.com/maps/d/u/0/viewer?mid=1WfzAg6Mipa6KdGiWz_iyslelUhT2fNwd&ll=34.98715087328743%2C135.76642352247814&z=15

招待作家

鈴木昭男(サウンドアーティスト)

1941年平壌生まれ。1963年、名古屋駅でおこなった《階段に物を投げる》以来、自然界を相手に「なげかけ」と「たどり」を繰り返す「自修イベント」により、「聴く」ことを探求。1970年代にはエコー楽器《アナラポス》などの創作楽器を制作し、演奏活動を始める。1988年、子午線上の京都府網野町にて、一日自然の音に耳を澄ます《日向ぼっこの空間》を発表。1996年に街のエコーポイントを探る「点音(おとだて)」プロジェクトを開始。ドクメンタ8(ドイツ、1987年)、大英博物館(イギリス、2002年)、ザツキン美術館(フランス、2004年)、ボン市立美術館(ドイツ、2018年)、東京都現代美術館(2019年)など、世界各地の美術展や音楽祭での展示や演奏多数。​