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CASE-1 霧の街のアーカイブについて

本年度は、京都駅にほど近い崇仁地域周辺の失われつつある環境について、サウンドアーティストの鈴木昭男氏と共にプロジェクトを行います。地域の特性を言葉や記録映像ではなく「音」で捉える《SUJIN点音MAP》は「感覚によるコミュニティアーカイブ」という新たな方法で記憶を伝えることになるでしょう。
また、次年度のプロジェクトを視野に入れたリサーチプログラムとして、「霧の彫刻家」中谷芙二子氏を中心としたチームと共に地域の気象条件や環境についての調査を行います。移民を排除する催涙ガスでも、工場から排出される公害物質でもなく、蒸気となった水が露点に達し粒子となり生じる霧という自然から地域の環境や記憶に対面する方法を探ります。
これら二つの活動は、地域の記憶を記念碑のように固定化するのではなく、環境の変化と共に変容していく「動的な記憶や感性の記録」の提案へと繋がるでしょう。
本企画ではプロジェクトと並行して、オープンレクチャー・セミナー・ワークショップを行い、芸術実践に関わる知識と経験を深化させていきます。

プログラムディレクター 京都市立芸術大学美術学部教授 高橋悟

展覧会「聞こえないを聴く・見えないを視る」|点音ツアー & MAKEUP

2019年10月26日 鈴木昭男
点音ツアー & MAKEUP

ダイジェスト映像

シンポジウム
テーマ:聞こえないを聴く・見えないを視る

2019年10月27日 鈴木昭男
パフォーマンス

招待作家

鈴木昭男

サウンドアーティスト

1941年平壌生まれ。1963年、名古屋駅でおこなった《階段に物を投げる》以来、自然界を相手に「なげかけ」と「たどり」を繰り返す「自修イベント」により、「聴く」ことを探求。1970年代にはエコー楽器《アナラポス》などの創作楽器を制作し、演奏活動を始める。1988年、子午線上の京都府網野町にて、一日自然の音に耳を澄ます《日向ぼっこの空間》を発表。1996年に街のエコーポイントを探る「点音」プロジェクトを開始。ドクメンタ8(ドイツ、1987年)、大英博物館(イギリス、2002年)、ザツキン美術館(フランス、2004年)、ボン市立美術館(ドイツ、2018年)、東京都現代美術館(2019)など、世界各地の美術展や音楽祭での展示や演奏多数。

 

音が描く風景/風景が描く音 鈴木昭男・八木良太展」展示風景 (2010年、横浜市民ギャラリーあざみ野)

中谷芙二子

美術家

1933年生まれ。“霧のアーティスト”として世界に知られる。米ノースウェスタン大学美術科を卒業後、初期の絵画制作を経て、芸術と技術の協働を推進する実験グループ「E. A. T.」に参加。「E. A. T.」の活動の一環として1970年の大阪万博ペプシ館で、初めての人工霧による「霧の彫刻」を発表。純粋な水霧を用いた環境彫刻、インスタレーション、パフォーマンスなど、世界各地で制作した80を超える霧作品群は、人と自然を取り結ぶメディアである。環境への関心は、雪の結晶を世界で初めて人工的に作った実験物理学者の父、中谷宇吉郎(1900-1962)の影響が大きい。また1970年代から社会を鋭く見つめるビデオ作品の制作や、海外作家との交流を推進するとともに、日本の若手ビデオ作家の発掘と支援に尽力した。

講師陣

大西麻貴 (建築家/大西麻貴+百田有希/o+h)
奥村一郎 (和歌山県立近代美術館学芸員)
加治屋健司 (現代美術史・表象文化論/東京大学大学院総合文化研究科准教授)
久保田翠 (NPO法人クリエイティブサポート・レッツ理事長)
倉智敬子 (美術家)
カトリーヌ・グルー (風景論/フランス国立建築造園高等専門家養成学校リール校教授)
近藤健一 (森美術館キュレーター)
榊原充大 (建築家/リサーチャー/株式会社都市機能計画室代表/RAD)
島田清夏 (美術家)
杉山雅之 (美術家)
高谷史郎 (アーティスト)
多田智美 (編集者/株式会社MUESUM代表)
ミキ・デザキ (映画監督)
人長果月 (美術家)
広瀬浩二郎 (日本宗教史・文化人類学/国立民族学博物館准教授)
牧口千夏 (京都国立近代美術館主任研究員)
毛利悠子 (美術家/東京藝術大学講師)
山峰潤也 (水戸芸術館現代美術センター学芸員)

赤松玉女 (画家/本学学長)
磯部洋明 (宇宙物理学/本学美術学部准教授)
佐藤知久 (文化人類学/本学芸術資源研究センター専任研究員・教授)
砂山太一 (建築家/美術研究/本学美術学部講師)

プログラム

実践的なプロジェクトの背景をより深く理解することを目的としたシンポジウムを開催します。

第1回 「問題行動か表現未満か」
第2回 「聞こえないを聴く・見えないを視る」
第3回 「3.11以降のアート×サイエンス×デモクラシー」

開催予定|2019年10月‒12月(3回)
会場|京都国立近代美術館、 京都市立芸術大学

少人数での意見交換を目的としたもので、プロジェクトやオープンレクチャーで得た経験や知識を多角的に捉え直します。

開催予定|2019年10月‒3月(3回程度)
会場|京都市立芸術大学

地域でのフィールドワークを中心としたワークショップを開催します。
アーティストや研究者に加えて、高齢や障害など多様な生の条件を持った人々をゲストとして招待し、多元的な世界の記憶の在り方を探ります。
また記録の共有や発信の方法についても実践的に学びます。

開催予定|2019年8月‒12月(3回程度)
会場|崇仁地域周辺、京都市立芸術大学

実施要項

受講料 | 無料

募集人数 | 15名

選ばれた研修生は各プログラムに積極的に関わることが望まれますが、事情により参加プログラムを選択することも可能です。

応募方法

ウェブサイト内「霧の街のアーカイブ」応募フォームにて下記項目を明記の上ご応募ください。
・お名前・ご連絡先(ご住所、電話番号、Eメールアドレス)・学歴および職歴

第1次募集応募締切 | 2019年7月22日(月)23:59
選考結果通知 | 2019年7月25日(木)
オリエンテーション | 2019年7月27日(土)13:00‒
会場 | 京都市立芸術大学

第2次募集応募締切 | 2019年10月7日(月)23:59
選考結果通知 | 2019年10月10日(木)
オリエンテーション | 2019年10月12日(土)13:00‒
会場 | 京都市立芸術大学

 

定員に達したため、第2次募集は行いません。たくさんのご応募ありがとうございました。

実施期間

実施期間 2019年7月‒2020年3月

会場

崇仁地域周辺、京都市立芸術大学、京都国立近代美術館など