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CASE-2 霧の街のクロノトープについて

この分岐点で問う~「働くこと/生きること/創造すること」の出会いへ向けて

 

「人類の進歩と調和」が謳われ、高度成長を目指した1970年大阪万博から半世紀を経て、テロリズム、災害、自国中心主義、格差社会、環境危機など、これまでの枠組みでは応じられない分岐点が私たちに訪れています。グローバルに拡散する新型コロナウィルスによる「危機」もまた、そのような分岐点の指標なのです。いま切実に問われているのは、改めてヒトとヒト、ヒトと自然の新たな信頼関係を取り戻すことではないでしょうか。学芸員を指すキュレーターはラテン語のcurare(看る=ケアする)に由来しています。そこで今回は、ヒト、情報、環境、芸術を含む包括的な領域としてケアを捉え直し「活動①霧の街のクロノトープ」、「活動②メディア・エコロジー」、「活動③新たなシャドウ・ワーク」という三つのプログラムを組み合わせたアートの実践を試みます。主な活動の拠点は、都市開発で大きく変容してゆく京都駅周辺の中でも人権運動の歴史を持つ崇仁地域と東九条地域、それらを南北につなぐ高瀬川周辺です。共に「働くこと」・「生きること」・「創造する」ことが、互いに排除し合うことのないような新たな場の提案へとつなげてゆきませんか。

 

プログラムディレクター 高橋悟(美術家/京都市立芸術大学美術学部教授)

招待作家

中谷芙二子(美術家)
高谷史郎(アーティスト)

 

「霧の彫刻家」中谷芙二子とアーティスト・グループ「ダムタイプ」の高谷史郎のコラボレーションプロジェクトを準備しています。

霧という自然に包まれた時、一瞬の間、視界が白い闇で閉ざされ、方向が分からなくなり、まるで無重力の空間へ入り込んだような感覚を持つことがあります。それは私達が所属する「いま、ここ」という現実的な視点から、少し距離をおき、地球や自然を身近に感じながら感覚を開くレッスンになるように思います。霧と光の幻想的な空間演出は、白く霞んだ風景の向こう側へ、鑑賞者の記憶と未来への思いを投影するための、新しい「記憶のスクリーン」となることでしょう。

活動概要

活動①〔プロジェクト〕〔セミナー〕

霧の街のクロノトープ

2020年9月 – 2021年3月(全3回)

 

クロノトープとは場所の記憶を引き出す装置を指します。本活動では、作年度におけるフィールドワークやテストを踏まえて、中谷芙二子氏の霧の彫刻プロジェクトをパフォーマンスグループのダムタイプの高谷史郎氏の協力を得て進めてゆきます。化学薬品でなく「純粋な水」による自然な霧を発生させることで、かつての共同体の記憶を想起させる野外舞台が生みだされてゆきます。

 

講師

中谷芙二子(美術家)

高谷史郎(アーティスト)

平倉圭(芸術学/横浜国立大学准教授)

中井悠(音楽その他/京都市立芸術大学講師)

人長果月(美術家/京都市立芸術大学特任准教授)

 

 

活動②〔セミナー〕〔ワークショップ〕

メディア・エコロジー

2020年8月 – 2021年3月(全4回)

 

ソーシャルディスタンスの要請は、私たちにテレワーク、オンライン授業などの普及を加速化しました。一方で、これまで当たり前に存在していた身体的な移動や、空間を共にすることの意味を捉え直す機会にもなっています。メディア・エコロジー編では、オンラインでのコトバや画像を介した情報の交換ではなく、そこから抜け落ちる、環境や身体の感覚を重視した仮想の空間での実験からスタートします。受講生と共同でマインクラフトで霧の街を作るなどの目標を立て、情報社会における地域の記憶の伝え方、別の記録の残し方について考えてゆきます。

 

講師

山本麻紀子(美術家)

砂山太一(建築家/美術研究/京都市立芸術大学美術学部准教授)

水無瀬翔(美術家/本事業特任研究員)

 

 

活動③〔セミナー〕〔ワークショップ〕

新たなシャドウ・ワーク ~資本とエコロジー:労働・環境・アート

2020年8月 – 2021年3月(全4回)

 

今回の新型コロナウィルスは、今までばらばらに見えていた、医療・福祉やゴミの回収やスーパーの店員などエッセンシャルワークや社会のインフラとしての労働というくくりで可視化させることになりました。「新たなシャドウ・ワーク」では、コロナ以後の世界における労働や価値と流通について共に考える場を提供します。エクササイズとして、芸術大学のゴミ捨て場のあり方を考えるところから始め、「ゴミ、芸術、労働」の新しい価値の循環システムの提案へと展開してゆきます。

 

講師

矢津吉隆(美術家/kumagusuku代表/副産物産店)

熊野陽平(美術家/本事業プログラムコーディネーター)

山田毅(美術家/副産物産店/本事業プログラムコーディネーター)

応募方法

ウェブサイト内「CASE-2: 霧の街のクロノトープ」応募フォームにて下記項目を明記の上ご応募ください。

応募締切 | 2020年8月2日(日) 23:59

選考結果通知 | 2020年8月7日(金)

オリエンテーション※ | 2020年8月22日(土) 13:00–

※Google meet(ビデオチャット)を使用して行います。アクセス方法等は選考結果通知にてお知らせいたします。

実施要項

受講料|無料※
募集定員|15名
受講形態 |〔プロジェクト〕〔セミナー〕〔ワークショップ〕
本企画ではプロジェクトと並行して、セミナー・ワークショップを行い、芸術実践に関わる知識と経験を深化させてゆきます。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、講義をGoogle meet(ビデオチャット)を使用して行うことがございます。受講のためにはパソコンもしくはスマートフォン、およびGoogleアカウントが必要になります。通信費用等については研修生のご負担となります。

 

〈 Google meetの使用要件 〉

https://support.google.com/meet/answer/7317473?hl=ja
〈 Googleアカウントの作成方法 〉

https://support.google.com/accounts/answer/27441?hl=ja

選択する講義によってはパソコン・ブロードバンド環境・指定のソフトウェアが必要となってくる場合がございます。こちらについても費用は研修生のご負担となります。

実施期間

2020年8月 – 2021年3月

会場

東九条地域周辺(京都市南区)

京都市立芸術大学

ほかを予定しています。

諸注意

プログラムは日時や講師、会場等は変更となる場合があります。また、台風などの天候や新型コロナウイルス感染防止のために開催を中止することがあります。オンラインレクチャーの画面録画、イベントのカメラ・ビデオ等による記録撮影が行われ、ウェブサイトや報告書、広報物等で使用させていただく場合がございます。予めご了承ください。